日本語 man コマンド類 (ja-man-1.1j_5) と日本語 man ドキュメント (ja-man-doc-5.4 (5.4-RELEASE 用) など) をインストールすると、以下のような man コマンド閲覧、キーワード検索が コンソールからできるようになります。
4.11-RELEASE-K, 5.4-RELEASE-K, 5.5-RELEASE-K, 6.0-RELEASE-K から 6.4-RELEASE-K, 7.0-RELEASE-K から 7.4-RELEASE-K, 8.0-RELEASE-K から 8.4-RELEASE-K, 9.0-RELEASE-K から 9.3-RELEASE-K, 10.0-RELEASE-K から 10.3-RELEASE-K, 11.0-RELEASE-K から 11.4-RELEASE-K, 12.0-RELEASE-K, 12.1-RELEASE-K は、 プライベート版 (小金丸が編集してまとめたもの) ですが、 より多くの翻訳したファイルが含まれています。 (5.4-RELEASE-K から 6.4-RELEASE-K, 7.0-RELEASE-K から 7.4-RELEASE-K, 8.0-RELEASE-K から 8.4-RELEASE-K, 9.0-RELEASE-K から 9.3-RELEASE-K, 10.0-RELEASE-K から 10.3-RELEASE-K, 11.0-RELEASE-K から 11.4-RELEASE-K, 12.0-RELEASE-K から 12.3-RELEASE-K, 13.0-RELEASE-K から 13.2-RELEASE-K は、全翻訳済み)
13.3-STABLE-K, 15.0-CURRENT-K は現在、作成中で日々更新されています。
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LINK(5) FreeBSD ファイルフォーマットマニュアル LINK(5) 名称 link -- ダイナミックローダとリンクエディタインタフェース 書式 #include <sys/types.h> #include <nlist.h> #include <link.h> 解説 インクルードファイル <link.h> では、ダイナミックにリンクされたプログラム やライブラリに含まれる数種の構造体が宣言されています。その構造体は、リン クエディタとローダ機構のいくつかの構成要素間のインタフェースを定義しま す。バイナリ中でのこれらの構造体のレイアウトは、多くの点で a.out 形式に類 似しており、シンボル定義 (付随する文字列テーブルを含む) や外部エンティ ティへの参照を解決するのに必要なリロケーションレコードといった、よく似た 機能を提供します。それに加え、ダイナミックロードとリンク処理に固有のいく つかのデータ構造も記録しています。このようなデータ構造としては、リンクエ ディット処理を完結するのに必要な他のオブジェクトへの参照や、異なるプロセ ス間でコードページの共有を進めるための位置独立コード (Position Indepen dent Code 略して PIC) を機能させるための間接テーブルがあります。ここで述 べるデータ構造全体をランタイムリロケーションセクション (RRS) と呼び、ダイ ナミックにリンクされるプログラムや共有オブジェクトの標準テキスト及びデー タセグメントに埋め込まれます。これは、既存の a.out(5) 形式には、RRS のた めの場所が他にないからです。 あるプログラムを実行可能とする処理が、システムリソースの使用を最適化しつ つ正しく完了するよう、複数のユーティリティが協調して働きます。コンパイラ は、PIC コードを出力し、それから ld(1) によって共有ライブラリが作られま す。コンパイラは、また、初期化される各データアイテムのサイズ情報をアセン ブラディレクティブ .size を用いて記録します。PIC コードは、ある間接テーブ ルを通じてデータ変数にアクセスする点で従来のコードと異なっています。この 表は、グローバルオフセットテーブルと呼ばれ、慣習によって、予約名 _GLOBAL_OFFSET_TABLE_ によってアクセス可能です。ここで用いられるメカニズ ムの詳細は、機種依存ですが、通常は、そのマシンのレジスタ 1 本がこの用途に 予約されます。このような仕組みの背景にある合理性は、実際のロードアドレス とは、独立したコードを生成することです。実行時には、アドレス空間において 様々な共有オブジェクトがロードされるアドレスに応じて、グローバルオフセッ トテーブルに含まれる値のみ変更すればよいのです。 同様に、大域的に定義された関数の呼び出しは、コアイメージのデータセグメン ト中に置かれているプロシージャリンケージテーブル (PLT) を通じて間接的に行 われます。これもまた、実行時にテキストセグメントを修正せずに済ませるため のものです。 リンクエディタがグローバルオフセットテーブルとプロシージャリンケージテー ブルを配置するのは、複数の PIC オブジェクトファイルを結合してプロセスのア ドレス空間にマップするのに適した 1 つのイメージにする時です。リンクエディ タは、また、実行時のリンクエディタが必要とする全てのシンボルを集め、それ らをイメージのテキストとデータのビット列と共にストアします。もう 1 つの予 約シンボル _DYNAMIC は、実行時のリンク構造が存在することを示すのに用いら れます。_DYNAMIC が 0 にリロケートされる場合は、実行時リンクエディタを起 動する必要はありません。もし _DYNAMIC が非 0 なら、_DYNAMIC は、必要なリ ロケーション情報とシンボル情報の位置を引き出すことができるデータ構造を指 しています。これは、特に、スタートアップモジュール crt0 で利用されます。 慣習として、_DYNAMIC 構造体は、それが属するイメージのデータセグメントの最 初に置かれます。 データ構造 ダイナミックリンクと実行時リロケーションをサポートするデータ構造は、それ らの処理の適用対象イメージのテキスト及びデータセグメントの両方の中にあり ます。テキストセグメントには、シンボル記述や名前といった読み込み専用デー タが含まれ、他方データセグメントには、リロケーション処理で更新する必要の あるテーブル類が含まれます。 シンボル _DYNAMIC は、_dynamic 構造体を参照します: struct _dynamic { int d_version; struct so_debug *d_debug; union { struct section_dispatch_table *d_sdt; } d_un; struct ld_entry *d_entry; }; d_version このフィールドは、異なったバージョンのダイナミックリンク実装用 に提供されています。ld(1) 及び ld.so(1) が理解する現在のバー ジョン番号は、SunOS 4.x リリースで用いられている LD_VERSION_SUN (3) と、FreeBSD 1.1 以来使用されている LD_VERSION_BSD (8) です。 d_un d_version に応じたデータ構造を参照します。 so_debug このフィールドは、共有オブジェクトのシンボルテーブルをアクセス するためのフックをデバッガに提供します。この共有オブジェクト は、実行時リンクエディタの処理の結果ロードされたものです。 section_dispatch_table 構造体がメインとなる ``ディスパッチャ'' テーブルで あり、イメージ内で様々なシンボル情報やリロケーション情報が置かれるセグメ ントへのオフセットを保持します。 struct section_dispatch_table { struct so_map *sdt_loaded; long sdt_sods; long sdt_filler1; long sdt_got; long sdt_plt; long sdt_rel; long sdt_hash; long sdt_nzlist; long sdt_filler2; long sdt_buckets; long sdt_strings; long sdt_str_sz; long sdt_text_sz; long sdt_plt_sz; }; sdt_loaded ロードされた最初のリンクマップ (後述) へのポインタ。この フィールドは、ld.so によって設定されます。 sdt_sods このオブジェクトが必要とする共有オブジェクト記述子の (リン ク) リストの先頭。 sdt_filler1 使用しないで下さい (SunOS では、ライブラリの検索ルールを指定 するのに使用されていました)。 sdt_got このイメージ中でのグローバルオフセットテーブルの位置。 sdt_plt このイメージ中でのプロシージャリンケージテーブルの位置。 sdt_rel 実行時のリロケーションを指定する relocation_info 構造体 (a.out(5) 参照) の配列の位置。 sdt_hash このオブジェクトのシンボルテーブルでシンボル検索を高速化する ためのハッシュテーブルの位置。 sdt_nzlist シンボルテーブルの位置。 sdt_filler2 現在使用されていません。 sdt_buckets sdt_hash 中のバケット数。 sdt_strings sdt_nzlist に対応するシンボル文字列テーブルの位置。 sdt_str_sz 文字列テーブルのサイズ。 sdt_text_sz このオブジェクトのテキストセグメントのサイズ。 sdt_plt_sz プロシージャリンケージテーブルのサイズ。 sod 構造体は、それを含むオブジェクトのリンクエディット処理を完了するのに 必要な共有オブジェクトを記述します。そのようなオブジェクトのリスト (sod_next で連結されます) は、section_dispatch_table 構造体の sdt_sods に よって指し示されます。 struct sod { long sod_name; u_int sod_library : 1, sod_reserved : 31; short sod_major; short sod_minor; long sod_next; }; sod_name このリンクオブジェクトを記述する文字列の、テキストセグメント におけるオフセット。 sod_library もし設定されていれば、sod_name は、ld.so が検索することにな るライブラリを指定します。そのパス名は、あるディレクトリ群 (ldconfig(8) 参照) で lib<sod_name>.so.n.m にマッチする共有 オブジェクトを検索することで得られます。もし設定されていなけ れば、sod_name は、希望する共有オブジェクトに対するフルパス 名を指し示す必要があります。 sod_major ロードすべき共有オブジェクトのメジャーバージョン番号を指定し ます。 sod_minor ロードすべき共有オブジェクトの希望するマイナバージョン番号を 指定します。 プロセスのアドレス空間にロードされる共有オブジェクト全てを追跡するため に、実行時リンクエディタは、リンクマップと呼ばれる構造体のリストを管理し ています。これらの構造体は、実行時にのみ用いられ、実行可能ファイルや共有 ライブラリのテキストあるいはデータセグメントにはありません。 struct so_map { caddr_t som_addr; char *som_path; struct so_map *som_next; struct sod *som_sod; caddr_t som_sodbase; u_int som_write : 1; struct _dynamic *som_dynamic; caddr_t som_spd; }; som_addr このリンクマップに対応する共有オブジェクトがロードされるアド レス。 som_path ロードされるオブジェクトのフルパス名。 som_next 次のリンクマップへのポインタ。 som_sod この共有オブジェクトのロードをつかさどる sod 構造体。 som_sodbase 最近のバージョンの実行時リンカでは捨てられています。 som_write このオブジェクトのテキストセグメント (の一部分) が現在書き込 み可能である場合にセットされます。 som_dynamic このオブジェクトの _dynamic 構造体へのポインタ。 som_spd 実行時リンクエディタが管理するプライベートデータと連結するた めのフック。 サイズ付きシンボル記述。これは、単に nlist 構造体にフィールド (nz_size) を 1 つ追加したものです。共有オブジェクトのデータセグメントにあるアイテム のサイズ情報を伝達するのに用いられます。この構造体の配列は、共有オブジェ クトのテキストセグメントに存在し、そのアドレスは、section_dispatch_table の sdt_nzlist フィールドで指定されます。 struct nzlist { struct nlist nlist; u_long nz_size; #define nz_un nlist.n_un #define nz_strx nlist.n_un.n_strx #define nz_name nlist.n_un.n_name #define nz_type nlist.n_type #define nz_value nlist.n_value #define nz_desc nlist.n_desc #define nz_other nlist.n_other }; nlist (nlist(3) 参照)。 nz_size このシンボルで表現されるデータのサイズ。 実行時のリンクエディットで行われるシンボル検索を高速化するため、共有オブ ジェクトのテキストセグメントにハッシュテーブルが含まれています。 section_dispatch_table の sdt_hash フィールドは、rrs_hash 構造体を指し示 します: struct rrs_hash { int rh_symbolnum; /* シンボル番号 */ int rh_next; /* 次のハッシュエントリ */ }; rh_symbolnum 共有オブジェクトのシンボルテーブル (ld_symbols で与えられま す) での当該シンボルのインデックス。 rh_next 衝突が起きたとき、このフィールドは、このハッシュテーブルの バケットにおける次のエントリのオフセットを保持します。最終 バケット要素の場合は、0 となります。 rt_symbol 構造体は、実行時にアロケートされるコモン(commons)と共有オブジェ クトからコピーされるデータアイテムを追跡するのに用いられます。これらのア イテムは、リンクリストで管理され、デバッガでの利用のために so_debug 構造 体 (後述) 中の dd_cc フィールドによって公開されます。 struct rt_symbol { struct nzlist *rt_sp; struct rt_symbol *rt_next; struct rt_symbol *rt_link; caddr_t rt_srcaddr; struct so_map *rt_smp; }; rt_sp シンボル記述。 rt_next 次の rt_symbol の仮想アドレス。 rt_link ハッシュバケットにおける次の要素。ld.so の内部で用いられま す。 rt_srcaddr 共有オブジェクト中での初期化済データのソース位置。 rt_smp この実行時シンボルが記述するデータの元のソースとなる共有オブ ジェクト。 so_debug 構造体は、実行時リンクエディットの結果、当該プロセスのアドレス空 間にロードされたあらゆる共有オブジェクトの情報を得るために、デバッガに よって利用されます。実行時リンクエディタは、プロセスの初期化処理の一部と して実行されるため、共有オブジェクトからシンボルにアクセスしようとするデ バッガは、crt0 からリンクエディタが呼ばれた後でのみそれが可能となります。 ダイナミックリンクされているバイナリは、so_debug 構造体を持っています。こ の構造体の場所は、_dynamic 中の d_debug フィールドで指示されます。 struct so_debug { int dd_version; int dd_in_debugger; int dd_sym_loaded; char *dd_bpt_addr; int dd_bpt_shadow; struct rt_symbol *dd_cc; }; dd_version このインタフェースのバージョン番号。 dd_in_debugger 当該プログラムがデバッガの制御下にあることを実行時リンカ に知らせるためにデバッガによってセットされます。 dd_sym_loaded 共有オブジェクトをロードすることで実行時リンカがシンボル を追加した場合、実行時リンカによってセットされます。 dd_bpt_addr デバッガに制御を移すために実行時リンカによってセットされ るブレークポイントアドレス。このアドレスは、_main 呼び出 しの前に、スタートアップモジュール crt0.o によってある適 切な場所に決定されます。 dd_bpt_shadow アドレス dd_bpt_addr にあった元の機械命令を保持します。デ バッガは、プログラム実行を再開する前にこの機械命令を元に 戻すことになっています。 dd_cc デバッガが必要とする可能性のある、実行時にアロケートした シンボルのリンクリストへのポインタ。 ld_entry 構造体は、ld.so 中のサービスルーチン一式を定義します。 struct ld_entry { void *(*dlopen)(char *, int); int (*dlclose)(void *); void *(*dlsym)(void *, char *); char *(*dlerror)(void); }; crt_ldso 構造体は、crt0 中のスタートアップコードと ld.so との間のインタ フェースを定義します。 struct crt_ldso { int crt_ba; int crt_dzfd; int crt_ldfd; struct _dynamic *crt_dp; char **crt_ep; caddr_t crt_bp; char *crt_prog; char *crt_ldso; struct ld_entry *crt_ldentry; }; #define CRT_VERSION_SUN 1 #define CRT_VERSION_BSD_2 2 #define CRT_VERSION_BSD_3 3 #define CRT_VERSION_BSD_4 4 crt_ba crt0 によって ld.so がロードされた仮想アドレス。 crt_dzfd SunOS では、このフィールドは、``/dev/zero'' へのオープンされた ファイル記述子を保持し、0 クリアされたデマンドページを得ます。 FreeBSD では、このフィールドは、-1 を保持します。 crt_ldfd ld.so をロードするために crt0 が用いる、オープンされたファイル 記述子を保持します。 crt_dp main の _dynamic 構造体へのポインタ。 crt_ep 環境文字列へのポインタ。 crt_bp メインプログラムがデバッガで実行される場合、実行時リンカがブ レークポイントを置くアドレス。so_debug を参照してください。 crt_prog crt0 で決定されるメインプログラムの名前 (CRT_VERSION_BSD3 の み)。 crt_ldso crt0 でマップされる実行時リンカのパス (CRT_VERSION_BSD4 のみ)。 hints_header 構造体及び hints_bucket 構造体は、通常 ``/var/run/ld.so.hints'' に置かれるライブラリヒントのレイアウトを定義しま す。ライブラリヒントは、ファイルシステム中で共有オブジェクトイメージの在 処をすばやく見つけるために ld.so によって利用されます。ヒントファイルの構 成は、``a.out'' とそれほど異なりません。つまりヒントファイルは、固定長 ハッシュバケットのオフセットとサイズを決定するためのヘッダと、共通の文字 列プールを持っています。 struct hints_header { long hh_magic; #define HH_MAGIC 011421044151 long hh_version; #define LD_HINTS_VERSION_1 1 long hh_hashtab; long hh_nbucket; long hh_strtab; long hh_strtab_sz; long hh_ehints; }; hh_magic ヒントファイルのマジックナンバ。 hh_version インタフェースのバージョン番号。 hh_hashtab ハッシュテーブルのオフセット。 hh_strtab 文字列テーブルのオフセット。 hh_strtab_sz 文字列テーブルのサイズ。 hh_ehints ヒントファイルで利用可能な最大オフセット。 /* * ヒントファイルのハッシュテーブル要素 */ struct hints_bucket { int hi_namex; int hi_pathx; int hi_dewey[MAXDEWEY]; int hi_ndewey; #define hi_major hi_dewey[0] #define hi_minor hi_dewey[1] int hi_next; }; hi_namex ライブラリを指定する文字列のインデックス。 hi_pathx ライブラリのフルパス名を表す文字列のインデックス。 hi_dewey 共通ライブラリのバージョン番号。 hi_ndewey hi_dewey 中の有効エントリ数。 hi_next ハッシュ衝突の際の次のバケット。 警告 現在のところ、共有ライブラリ生成をサポートしているのは、(GNU) C コンパイ ラのみです。他のプログラミング言語では、利用できません。 FreeBSD 11.2 October 23, 1993 FreeBSD 11.2